SLP for Safety

SLPの概要

SLPは構文 (文法) です。当社独自の構文です。Syntax from a Logical Point of viewの略です。SLPは文の作成と分析のためのソフトウェアツールです。構文に当てはめて文の作成と分析を支援します。論理的観点に立つものです。論理的な条件の列 (「文脈」) を作ります。

SLPの効用

文の意味を明確にします。曖昧さを防ぎます。以下の機能と構文に依ります。

SLPの機能

  1. 目次作り: 目次を自由に作り、また入れ替え、移動、削除が簡単にできます。階層もいくつも可能です。(図1)
  2. 内容記述: 目次項目ごとに、考えの内容をメモ的にも、詳細にも書くことができます。
  3. 論理記述: 文を論理的に書くことが自然に身につきます。
  4. 文脈依存: 論理的な条件の列を作り、これを文脈として、文脈に依存した文の意味判定をすることを支援します。
図1: 目次 (左側) と内容 (右側)
引用: 『Knowledge and Belief』(J. Hintikka)

構文の説明

文の構成

文を構文に従い作ります。文は単位文です。単位文とは、対象物を指す語句と対象物の属性を指す語句とを二つの要素とする、最小単位の文をいいます。多くは主語(目的語)と述語に相当します。

文の接続

単位文は、「かつ」や「ならば」などの接続語句でつながります。それぞれ論理学でいう「連言」や「含意」です。含意は条件「if」や「when」などと反対条件「else」を常に持つことで、反対条件を見逃すことを防ぎます。            

「安全」への応用

事象の時系列記述

STAMP/STPAやFMEAなどの安全分析では、アクシデント (事故・損失) とハザード (潜在的危険) の関係を明示することが求められます。SLPの単位文を1事象として記述します。1事象ごとに、事象を順序立てて書きます。例えば、因果系列的に記述することで、ハザードがアクシデントにいたる過程を明示できます。(図2)

図2: 踏切とりこ検知の例
『はじめてのSTAMP/STPA (実践編)』(P.3) (情報処理推進機構IPA、2017年5月)

文脈依存思考の支援

思考は無意識であれ文脈に沿ってなされます。(特許取得: 【「文脈ベース」、文関連装置】: 特願2023-217920)。よって、文の意味を正しく捉える上で、文脈を明示的に意識することが重要です。SLPは条件を文脈とみなし、文の文脈依存を明示します。図2では、6、8、9、10行目の事象 (「点灯しなかった」など) が、11行目のアクシデントにつながっていることが分かります。他方、10行目の反対である15行目 (「運転手が直ちにブレーキをかけた」) は、アクシデントが防げたことを示しています。ハザードやアクシデントの特定には、異論が多く出がちです。しかし、図2のように文脈 (条件や状況、場面など) を明示することで議論の収束を容易に図ることができます。

エクセル表との相互変換 (開発中)

現在、論理分析したものをエクセル表へ出力する機能を開発中です。ツールは、例えば、FMEA分析をSLPのif-else構文で書くと、それをエクセル表に自動変換します。その逆もOKです (図3)。論理分析と一覧性の相乗効果です。

図3: SLPとエクセルの相互変換